すきですと言えないです。

私は、ある人の作る曲が好きだ。

 

その人の、真っ暗闇から必死にもがいて見つけた光を大切にしているようなあの曲も、過去に苦しみながら生きる今を書いたようなあの曲もも、どれも残酷で、綺麗で、苦しくて、悲しいそんな魅力のある曲達が大好きだ。

 

でも、その人自身を好くことは今の私には出来なかった。だから、Twitterもフォローしないし、YouTubeのチャンネル登録もしない。再生する時に少し躊躇うし、ああ、なんで私は、この人の曲の虜になってしまったんだ。と思うことさえある。

 

こんな自分だが、昔はその人の事も好いていた。ただ、段々と好きになれなくなって行ったのだ、明確な理由と共に。ただ、その理由をここに書くと本物のワルグチになってしまう気がする。それは例え好くことが出来ない人だとしても避けたい。だから、此処は、割愛という愛を投げることにする。

 

 

ただ、どうしようも無く、その人の作る歌が好きで、どうしようも無く、その人を好きになれない。

 

だから、私は真っ直ぐに「すき」をその人に向けられない。けど、いつか、「すきだった」と伝えたい、その人に。「すき」よりも儚くって、もうどうしようも出来ないその感情の方がいい。私が曲越しにみた、作曲者としてのその人に近いのはこっちなんだ。

 

だから、いつか、私が曲さえも好きで居られなくなってしまった時に伝えよう。私の感情と語彙力とを制限のある文字数に載せて、目一杯に。「すきでした」の代名詞で埋め尽くしたい。でも結局言ってしまうんだろうな。「すきでした」と。

 

 

(2017/11/19 )